グループの紹介


磁力線でみる磁化反転(Acta Mater.71(2014)370)


面欠陥が増強する強磁性(Nat.Commun.5(2014)4133)

本研究グループは、超顕微解析研究センターの環境制御顕微解析部門、ならびに工学研究院・エネルギー量子工学部門(エネルギー物質科学講座)の両組織で研究教育活動を展開しています。

本グループのメンバーは、様々な物質・材料の研究に従事していますが、共通のキーワードは「電子顕微鏡」です。

電子顕微鏡を使った研究の方向性として、例えば「極限的な環境におかれた物質はどのように振る舞うか」を電子顕微鏡で直視するという研究に取り組んでいます。 ここで言う極限的な環境とは、例えば強電場などいわゆる外場の効果はもちろんのこと、複数の結晶相がエネルギー的に拮抗する相転移温度の近傍や、 異なる秩序が牽制しあうフラストレーションという環境など、広義に捉えた特殊環境を想定しています。こういった研究の出口として、極限環境が誘発する特殊な性質を、 材料機能の開発へとつなげて行く事を視野に入れています。

もう一つの方向性は、電子顕微鏡に関わる新しい技術の開発です。 例えば本グループでは「電子線ホログラフィー」という技術を実験の基軸としています。電子線ホログラフィーでは、波の性質を持った電子を干渉させ、その干渉パターンの変調を画像解析の技術で読み解いて行きます。 その解析から、物質を透過した電子の「位相」のズレを算出し、最終的には位相変化の根源となる「磁場」や「電場」の分布を、電子顕微鏡のスケールで明らかにします。 ここで重要となるのが、どれだけの正確さで、電子の位相変化を測定できるかという技術的要素です。これについて、位相成分の識別に関わる新しい実験・解析方法の開発や、情報科学的手法を駆使した微弱信号の抽出など、多面的な研究を行っています。 上記の新技術は、例えば磁性材料の界面(粒界)や相分離組織など、局所的領域からの磁束密度計測などに応用されています。